
身体にある200余りの骨が約260の関節を形成し、関節をまたいだ骨格筋が収縮することで関節を駆動させて全身を動かしています。関節には肩関節のように前後、左右、回旋の3軸(3自由度)で動くものもあり、各関節の自由度を合計すると数百の自由度を持つことになります。全身を使って巧みに動くには、関与する関節自由度を操作する骨格筋の力調整をタイミング良く制御していくことになります。このように考えると脳を中心に神経系が膨大な処理を行って筋と関節を制御していることが分かります。
当方の博士院生がバレエダンサーの片脚つま先立ちでの姿勢動揺の研究を進めています。ダンサーはまさに頭からつま先までを制御して、安定した姿勢をつくり出しています。その極めてバランスをとるのが難しい姿勢で、足裏にある筋肉がどのように活動しているのか。また、ダンサーの足裏の筋肉の特長は何かを明らかにしています。
先ほど述べたように関節には数多くの自由度があるため、動きをつくるための筋肉の活動のさせ方、制御の仕方には多くの選択肢があります。言い換えると創造的な使い方も編み出せ、個性を生み出すことにもなります。自由度という観点で、巧みな動きを考えてみるのも興味深いことです。