2017年08月25日

【少しの違いが大きな差を生む少しの違いが大きな差を生む】

 世界陸上のロンドン大会では、世界トップ選手たちによるハイレベルな競技を堪能することができました。より速く、より高く、より遠くへ、そしてより逞しく・スマートに、というのが印象です。

 より速くに関してみれば、100mが世界最速を決める戦いです。スタートからの反応良く飛び出し、加速、最高疾走を迎え、できるだけ減速を少なくゴールを駆け抜ける。あっという間の時間ですが、そのあっという間のわずかな時間を縮めるのに、圧倒的な時間を費やしてトレーニングを選手たちは積んでいます。

 スポーツ健康科学部の大恟赴ウらが、海外の学術誌に発表した研究(Frontiers in Psychology, 2017)によると、スターターのセットからピストルの合図までの時間(いわゆる、用意からドンまでの時間)によって、反応時間に差が出ることが明らかにされました。この時間は、スターターに任された時間ですが、通常1.5秒から2.5秒の範囲のようです。この時間が長い方が、反応時間が良いこと、かつ短い時間との差が0.04秒の違いを生じることを実験的に証明しました。

 100mスプリントにおいて、0.04秒は大きな違いです。ただ、現状ではスターター任せのことであり、何とも仕方がないところです。一方で、自らのスプリントのレースプランは各選手が立てます。今回の銀メダルを取ったリレーメンバーの一人から、スタートダッシュについて直接話しを聞いたことがあります。彼なりに、いくつかのダッシュの戦術があり、それを試しながら、反応時間、30m地点の通過時間、フォームなどを計測して、みずからの戦術、イメージと具体的なタイムとを比べて練習しているとのことでした。その時に、興味深かったのは、単に30m通過時間が早い戦術が、「良い」とは判断しない、ということでした。30m時点までの主観的なエネルギーの使い方、身体の疲労度、フォームなども考慮して、総合的に判断するというものでした。主観的な感覚と客観的なデータとを突き合わせながら、最適、最速の戦術を練っていることを示唆してくれました。

 少しの違いを大事にしながら、全体への影響を適切に判断して、自らの動きを決めていく。まさに人智の限りを尽くすアスリートは大きな差を生むことができるのでしょう。
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2017年08月22日

スポーツにみる応用問題

 この夏、スポーツに真摯に取り組む高校生の試合を観にいく機会がありました。試合で競技成績(パフォーマンス)をあげるには、日常のトレーニングで実力(競技力)を高めることがまず必要です。競技で求められる競技力には競技(種目)ごとに特徴あり、その特徴に合わせてトレーニングを積んでいく必要があります。
 いずれにしても競技力を高めて自分の身体を思い描いたように動かせるようにすることです。ただ、これがなかなか難しい。身体を動かすということは筋肉を使って関節を動かすことです。上肢・下肢には大きな関節が左右に各3つあり、関節自由度(関節が動く軸の数)の合計は28で、かなりの数です。さらには大抵のスポーツは瞬時に全身を動かすので、28もの自由度を短い時間で、最適な順序と力で制御するという作業はかなりの難問です。加えて、同じ年齢、同じ競技レベルであっても体型、筋肉の発達は異なっており、動かし方の「最適解」は人それぞれに違うことになります。
 このように現状の身体能力による「動きの最適解」を求めてトレーニングするわけですが、コンディショニングあるいは試合環境による身体状態の変化は問題をさらに複雑にします。
「スポーツする」とはこのような複雑な応用問題の最適解を常に求める営みということになります。このスポーツすることの理解は「学習、キャリアなど別の方面にも転用可能である」ということを多くのスポーツ経験者が実感しています。
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2017年07月24日

高校生向けの特別講義

 先日、都内の塾で特別講義をさせてもらいきました。対象はスポーツ科学の分野に興味を持っている高校生でした。話の内容は大きく3つ。@大学で学ぶとは?Aスポーツ健康科学とは?Bこれから求められる人財。今回は、講義だけでなく、グループワークも取り入れました。
 講義途中に1)未来はどうなるか、どんな課題があるか、2)どんな仕事、働き方になるかについて各自で整理する時間を設けた上でグループワークを行ってもらいました。テーマは「20年後の将来を設定し、そのときの社会的課題とそのときの仕事(職業)について」。各グループともに活発に討議し発表してくれました。
 将来像として、少子高齢化の進展、AIとロボットのより活発な社会進出をあげながら、課題解決については、健康寿命の延伸、コミュニティづくり、働き方など多様な議論を展開してくれました。興味を引いたのは、エンターテイメントを活用して健康の維持増進のために、テーマパークのような施設で知らず知らずにうちに運動するようなものができると良いね、という話がありました。また、福祉、介護に触れたチームでは、AIやロボットが進んでも、やはり人間に世話を受けたい人が多いので、この分野の職業が盛んになることをあげていました。さらに全体として、コミュニケーション能力の重要性を認識しているのが印象的でした。
若者が未来像を自分ゴトとしてしっかり考え、その実現に向けた真剣な議論をみることができ頼もしく感じました。
posted by 忠 at 13:11| Comment(0) | 【Lakes Magazine】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする