2016年03月10日

特集号 ラン&ウォーク

 冬から暖かい春になると身体が動きやすくなりますね。この機会に是非、ウォーキングやランニングを楽しんでください。今回は、ウォーキングやランニングについて研究室で明らかにしてきた研究成果のいくつかを紹介します。
 二足歩行の人間にとって、歩く・走る速度は、1歩あたりのストライドとピッチのかけ算によって決まります。つまり、早く歩いたり、走ったりするには、ストライドを大きく、ピッチを早く、もしくは両方ともを大きく・早くする必要があります。
 ウォーキングを継続的に行うことで有酸素能力が高まることが知られていて、手軽なエクササイズとして良く用いられています。一方で、高齢者になると歩行能力(速度)が落ちて転倒するリスクが高まるといわれています。特に転倒リスクは足が上がらないことが原因となっており、単に足部のつま先を上げる筋肉の低下だけでなく、太腿を持ち上げる股関節屈曲の筋力低下が原因といわれています。では、日常の中で、どのようにすればこの股関節屈曲に関わる筋力低下を予防できるのかを研究しました。
 歩く速度を同じ(通常歩行速度)にして、普段通りに歩く、ストライドを大きく、ピッチを早くの3条件で比較しました。そうすると、ストライドを大きく歩く条件では、足を前に振り出して接地する局面で股関節屈曲筋(腸腰筋)を積極的に活動させていることが分かりました。つまり、日常の中で、大股で歩くことで普段あまり使われなくて重要な筋(腸腰筋)を鍛えられることが分かりました。
 ただし、大股歩行はエクササイズとしては効果がありますが、日常生活に取り入れるには強度が高くなります。そこで、3歩に1回の大股歩をいれるi-walkという歩き方を研究室で考案し研究しています。こちらは日常生活に自然と取り入れられ、かつ股関節の筋力効果にもつながること、エネルギー消費量も高められ、かつ辛くないことを明らかにしています。少しの工夫で日常歩行をエクササイズに変えられます。
 走るに関するスプリント研究において、短距離選手の足ゆび、筋の形態などから興味深いことが分かってきました。一般の人と比べると短距離選手は、足ゆびを動かす筋肉の発達が顕著でした。短距離を速く走るには、全身で発揮する力を大きくして末端の足ゆびに伝達し、地面からその反力をもらう必要があります。当然、大きな力を伝達できるようになるには、足ゆびの筋力が発達する必要があると考えています。
 また、膝を伸ばす回転力は、太腿の前の筋肉(大腿四頭筋)の筋力と膝関節からのモーメントアーム(テコで習った支点から力点までの距離)によって決まります。トップスプリンターについて調べてみると、筋力の指標である大腿四頭筋の太さ(断面積)ではなく、膝関節からのモーメントアームの方が、スプリントパフォーマンス(疾走能力)と関連することが分かってきました。これらの結果は、MRIを活用した研究で明らかにしてきました。
 ラン&ウォークに関わる研究は非常に興味深く広範囲です。今回は、そのほんの一部を紹介しました。興味ある方は詳しく調べてみてください。
posted by 忠 at 15:55| Comment(2) | 【Lakes Magazine】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
25年ほど前、コンビ(株)に勤務し日体大に出入りしていた頃、伊坂さんにお世話になりました。
(僅かな期間でしたが、I教授にデータ収集をお願いしていました)

現在は北海道の十勝で、時々ですが介護予防運動の仕事をしています。
i-waik、これから調べて試してみようと思います。

偶然、このつぶやきにたどり着きました。
懐かしさのあまり、コメントさせて頂きました。


Posted by 三宅(依田)裕子 at 2016年07月26日 05:45
懐かしい!
コメントありがとうございます。
i-walkは、現在大学院生と研究中です。まだ、学会発表までです。これから論文に仕上げていきます。
引き続き「つぶやき」ならびにHPをご覧ください。
ありがとうございます。

伊坂
Posted by 忠 at 2016年07月26日 12:22
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