2017年11月20日

アートの力

 身のまわりにある建物、道具、衣服、日常品などは様々な形、色、質感を持っています。それぞれの意図に合わせてつくられたこれら人工物は、まさに人がつくり出した作品です。その物の持つ機能性だけでなく、使ってみたくなる、買いたくなるという心理的な動機につながる魅力(芸術性)も求められます。
 このような背景からなのか、最近、美大生を雇用する企業が増えていると聞いています。何もデザイン、美術を担当する、という役割だけでなく、経営の議論にも関わり、美的な感性・感覚から組織の中での横串を指すことに役立つ人財として活躍しているようです。
 ご存じのように、社会はいま急激な変化を遂げています。テクノロジーの急速な発展に伴い、社会のシステムも大きく変わってきています。第4次産業革命といわれる時代において既存の路線を踏襲するやり方では追いつかなくなってきています。このことはスポーツの現場でも同様です。テクノロジーの発展による恩恵を受ける時代だからこそ今まで以上に従来とは異なるアイデアが求められるようになってきています。その意味でも、スポーツの強化、指導にあたっては、アートの力、デザイン思考などを取り入れることが今後重要になっていくでしょう。
 これからのアスリートは、科学的で客観的なトレーニングを積み、芸術的な感性とデザイン思考を持って競技力を高め、その強化の中で蓄積した力を社会の中で還元していくことになるでしょう。
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2017年10月23日

OKライン

 女子サッカーのスペインリーグで活躍し、現在メンタルトレーナーとして活動されている後藤史さんから「OKライン」ということを習いました。
 後藤さん自身、スペインへ行ったときに、現地選手と自分自身を比較して、試合前のメンタルのつくり方にまず驚きました。スペインの選手は非常にリラックスしていて本音で緊張感を語り、心配を口に出すのですが、試合では、きっちりと結果を出す。一方、後藤さんは常に高い目標を掲げ試合に臨むのですが結果が出ず、「自分はまだまだダメ」と自己否定して負のスパイラルに入ってしまう。
 現在、メンタルトレーナーとして、自身の経験も踏まえ「OKライン」について選手に理解してもらい、ひとつひとつ成功体験を積み上げながら、自己肯定感を持ちながら最終目標に導く仕事をしています。OKラインとは、自分が「できる」基準を決めて、その基準をクリアして、どんどんとパフォーマンスを高めることです。ついつい選手は、試合前、可能性はあるが、その確率が低く、けれども到達したいと望む目標を掲げてしまいます。これだと出来なければ自己否定につながります。OKラインは「できる」基準を作ります。例えば、球技の試合で普段より大きな声を出す、などでもOKです。大きな大会に勝つという最終目標があった場合、かなり低い基準に見えますが、OKラインを繰り返し越え、自己肯定感を重ね、段階的に最終目標に向かうやり方です。
 急がば回れです。試してみてください。
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2017年09月25日

速く走るには

 桐生選手が10秒の壁を破り9秒98の日本記録を樹立しました。これをきっかけに陸上のスプリントに注目が集まってきています。
 先日、ある高校で模擬講義をさせてもらいました。桐生選手の記録達成もあり「速く走るには」という内容でバイオメカニクスの講義を依頼されました。走速度を決めるのは、ストライドとピッチのかけ算ですので、これらを大きくすれば速くなるのですが簡単にはいきません。
100m走の場合、スタートからの加速区間、最高疾走区間、それから後半の減速区間の3つに分けて分析されます。最も良いのがスタートで大きく加速し、最高疾走区間での速度が高く、それを減速することなく最後まで維持することです。ですがこの理想は難しい。最高疾走区間で足が地面に接している時間は0.1秒もありません。0.1秒より短い時間で足が地面に作用させた前方へのブレーキ力と後方への推進力の差し引きが、加速、等速、減速を決めます。なので、接地しているときだけでなく足が空中にある間の動きも重要になってきます。もちろん、極めて短い時間で意識しないで実行できるようにするため、選手は繰り返しトレーニングすることになります。
このように丹念な技術トレーニングならびに身体トレーニングによってスプリント能力は向上します。ただし、人智の及ばない自然環境(天候、風など)の影響も無視できません。だからこそ目標達成された記録は宝のように貴重といえます。
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